音楽視聴遍歴です。
年明けて書いてなかったので1月2月まとめて。
Dazey and the Scouts『Maggot』(2017)
Maggot - Album by Dazey and the Scouts | Spotify
最近初めて聴きました。一聴して、これはスゴいアルバムだ...!という確信。
パンク以降のアンダーグラウンドなロック史を時間超越的に横断してる感覚。
妙な魔法がかかってるところもあり、リフやメロディに先進性は無くとも、一貫して炸裂するエネルギッシュさは強烈です。
こういったジャンルでは特に珍しいわけでもないけど、過剰さを感じるボーカリングはパティ・スミスを思い出したり。
サウンドはパティ・スミスグループの要素も持ちながら、ほかのプロトパンク勢的な要素があって、それ以降のハードコア、ポストパンク、エモ、オルタナの系譜もしっかりと受け継いでる感じ。
それに加えて、恐らくリリックを書いてるであろうLea Jaffeがかなりの詩人。
表題曲の『Maggot』はほんとにスゴいので、genius片手に聴いてほしいです。
Dazey and the Scouts – Maggot Lyrics | Genius Lyricshttps://genius.com/Dazey-and-the-scouts-maggot-lyrics
直近の趣味の傾向として、エレクトロとかそれに属するちょっとアングラ寄りなサブジャンルを愛聴していて、それはもうSpotifyのプレイリストにはお世話になっています。
で、そんな中でやっぱり良いのがTEMPLIME(別に1月2月とかじゃなくて、通年聴いてるみたいなところはあるけど)。
TEMPLIME『クラウドダイバー』(2020)
クラウドダイバー - Album by TEMPLIME | Spotify
なんというか、テクスチャー的にもシーンの雰囲気的にも、20年代に入ってからはこういうTEMPLIMEと星宮ととみたいな志向が増えてきている気がして、その中でも全体的なテイストの安定性とか、シンプルなソングライティングの良さで言ったらTEMPLIMEが一番。
キラっとしたエフェクトと心地よいビートのFuture Garageはもちろん得意なところだろうし、ボイスサンプルの使い方も、ボーカルと上手い具合の層になっていて流石なんですけど、ちょっとインディーっぽいというか、バンド音楽的な楽曲もちゃんと良い。
TEMPLIME自体は元々有名だけど、去年の『skycave』の話題性で色んな人に聴かれるようになったと思う。
でも、やっぱり『クラウドダイバー』好きだな〜という感じ。
最近、かなり前に買っていた『東京大学「ボーカロイド音楽論」講義』を読み進めていて(ほんとは買ってすぐに読み始めたけど途中で忘れてた)、私がボカロを一番聴いていたころのボカロソングを聴きたくなって、それが多分2010〜2013年くらい。
色々と改めて聴きなおしてみると、当時は無知ゆえに気付かなかったポイントが結構あってなかなか楽しんでます。
例えば、炉心融解がFuture Garageをやってる、とか。
前述の本で語られている部分でCFM製VOCALOIDのキャラクター論が展開されていて、それがとても面白いんですけど、楽曲内で用いられているVOCALOIDに属性を付与しない楽曲というのも結構あって。
それこそ、電波系・キャラソン的じゃない曲に多い。サムネイルとかMVにキャラ絵が無い動画も多い。
私が一番聴いてた時代に好きだった中だと、nikiとか。
nikiはモノトーンで抽象的な画像のみのMVが多め(最初期と最近はイラストが使われている)。
アルバムを2枚出していて、1stはエレクトロ、EDM色が強めの作風で、キラーチューンの『Wave』が収録。他にも『Wave』ばりの勢いと気持ちよさが乗っかった良作。
続く2ndは、インディーロック調のバンドサウンドがあったり、シューゲイズなサウンドの楽曲があったり、かなりバラエティに富んでるし、ちゃんと良曲。そして前作のようなEDMもアリ。
ERROR - Album by niki | Spotify
それこそTEMPLIMEもだけど、インターネットのエレクトロ系のコンポーザーはみんなバンド系の音楽も作れちゃうところがすごいですね。
ちなみに、これを書いている最中にnikiの1stアルバムがサブスク配信無しになったみたい。
ちょっと待とう。
UA『数え足りない夜の足音』(2002)
数え足りない夜の足音 - EP by UA | Spotify
なんとなくUAを聴いていて、それに加えて何故か周りにUAの話題を出す人がちょくちょくいて、体感的に流行っているような気がしてます。
絶対そんなことないけど。
安定の朝本浩文作編曲。
00年代的なRemix収録のシングルなんですけど、原曲とRemix合わせて4曲。ちょっと多め。
UAはこういうタイプのシングルを結構出してそうなイメージだったけど、意外にもこの作品だけっぽいです。
Remixはどれもかっこよくてステキなんですけど、2つ目の川辺ヒロシ以外を誰がやったのかは不明。
3つ目のRemixのgreen giniについて調べても、THE MODSのトリビュートで、ミック・ジョーンズと共作しているという謎の情報のみだったので、詳しく知ってる人がいたら教えてください。
『Judgement Night』
Judgement Night: Music From The Motion Picture - Compilation by Various Artists | Spotify
映画『Judgement Night』のサントラ。
観ていない作品のサントラは聴かないタイプの人間の私が珍しく観てないのに聴いてるヤツ。
オルタナ、HR/HM、スラッシュとハーコーなヒップホップクルー達のコラボレーションアルバムで、90年代のUSシーンを代表するバンド群のイケてる演奏にイケてるラッパー達のボーカルが乗っかったすげぇアルバム。
当時の会議の風景を見たいです。
このアルバムのリリースが1993年で、RATMの1stが1992年。コーンの1stが1994年、リンプの1stが1997年。
それを考えると、まあやっぱり異色なプロジェクトであることは明白だし、それがちゃんと作品としての面白さや良さをキープしているのがスゴい。
当時は単発でのコラボはあっても、アルバム単位でラッパーとバンドが作品を作るというのは無かったらしい。そりゃそうだし、これも単発を集めただけだけど。
当時の一線級のメンツながらも、今ではあまり名前を聞かない人たちもチラホラ。時代を感じる。
コンビ的に面白いのは、Teenage FunclubとDe La SoulのM2とか、Sonic YouthとCypress HillのM7とか。
両バンドともそもそもが他のバンドに比べるとサウンド的にHR/HMの括りじゃないだけあってか、あんまりラップロックでは聴いたことがないようなテンションというか、響きがあっていい感じ。
他には、Living ColourとRun D.M.C.の、どう考えても相性が悪くなるとは思えないM3もいい出来。
M11のPearl JamとCypress Hillなんかは、のちに拡大するラップメタルに一番近いことをやってる気がする。
ちなみに、RATMとToolの曲もあったらしいけど、双方が難色を示したらしく、ボツになったらしい。
Loons『Loons』(1997)
Loons - Album by Loons | Spotify
フランスのインディー/スラッカー系のバンドの1st。
染み入るような繊細なギターのトーンと割りかしクッキリとした女声ボーカル、気怠げメンズのダウナーボーカルの二層構造。
それこそインディーな音楽では、ベタっぽいところがあるこのボーカルスタイルの鳴りがまあ見事で。
涼しさともヌルさとも取れる独自の温度感。
あまり馴染みがないフランスのスラッカーということもあって、新鮮さもありつつ、スッと馴染んでくる感じもとても良いです。
レーベルのElephant Recordsは、こういったインディー系のバンドやTwee Popなどを得意としているスペインのレーベルで、有名どころだとCamera Obscuraがいたり、最近ではスペインのAxolotes Mexicanosなんかもココ。
こういう普遍的な良さを追求しているところはやつぱりいい。
調べてたら5年くらい前にBandcampにて日本企画の2ndがリリースされていたみたいです。
タイミングで買いたい。
Dim Movies | Loons | galaxy train
以上、1月2月のリスニングのまとめでした。